ヤモリの指―生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジー

ヤモリの指―生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジー

24:1NM〜1000NM間のブラインドゾーン
43:ホソクビゴミムシ:過酸化水素をハイドロキノンと混合させると熱は80度に、「反応室」をロケット・ノズル様に旋回させて襲撃者に向ける。
48:有機物・無機物の区別は人間(頭の中)の産物
50:ナノ粒子は細胞内侵入や体積に比べて表面積が大きいので化学・電気的性質が強く現れ細胞内に破壊的な反応を引き起こす可能性はあるが、だからと言ってそれで構築された(個体の)構造物を恐れる理由は無い。
60:ロータスエフェクト(超撥水性)=ビィルヘルム・バルトロット:クリクラ、濡れ性→親水性面における水の接触角=30度以下、撥水性面=90度以上、ロータス−エフェクトの超撥水性面=150度以上。「ハニー・スプーン」、外装塗料「ロータサン(=シュトーロータサン)」
75:超親水性「ピルキントン・アクティブ・ガラス」:ロータス−エフェクトの逆の効果を利用して同じ結果(自浄)を得る。水の接触角を小さくして、面の濡れ性を高める。二酸化チタンの光触媒作用も利用。
83:2003年トルコの研究チームはポリプロピレンを原材料としたロータス−エフェクトのコーティング剤を発見。
84:ナノケア:桃の産毛から着想
87:ナミビアン・ダークリング・ビートル:2001年にアンドリュー・パーカーがこの甲虫の集水プロセスがロータス−エフェクトであるのに気付く。
90:水のビー球:水滴をヒカゲノカズラの胞子で覆い、さらにシリコン樹脂でコーティングして撥水させた「くっつかない水滴」。例:アブラムシの「甘露」
94:蜘蛛の糸:引っ張り強度は軟鋼の半分だが、密度は鋼鉄比の8分の一なので、単位重量当たりの付加で考えれば、蜘蛛の糸は鋼鉄の約6倍の強度を持つ。並外れた伸延性と高い引張強度を併せ持つ唯一の物質。
98:18世紀後半、蜘蛛の網に絵を描くのが流行、チェスター大聖堂に今に残る。
103:ジョージ・エメリー・グッドフェロー:絹の衣類が弾丸を受け止めた事例を収集。
112:コージコーナー亀裂:
119:両親媒性高分子:親水性・疎水性の両方を持つ高分子
121:通常は30〜40%の伸率が、濡れると300%まで弾性が上る。橋などを長時間支えたりする材料びは向かない。
125:「不死の蜘蛛」=蜘蛛の肝細胞?
127:蜘蛛の脚の各自には624000本の「細い毛」に分かれている。
133:スパチュラは10億個、死んだヤモリも壁に引っ付く。
135:体重50グラムのヤモリは身体を支えるのに手足の毛の「0.04%」しか使っていない。(体組織は持たないだろうが)全部接触させると120キロの人間が支えられる。
136:ファンデルワールス力:「2NM」以内の領域で、全てのものに作用する普遍的な凝集力
148:”ベルクロ(面ファスナー)はNASAの宇宙事業から派生した”は都市伝説
154:DOPA:
166:イリデッセンス=構造色:
172:ピラネージの版画:
173:クチクラ(キチン)はセルロースと同じ多糖類
174:モルフォテックス:帝人ファイバー日産自動車田中貴金属
175:モルフォ蝶が利用する物質は「空気とキチン」、キチンの空気との屈折率の比は「1対1.5」
176:ウロコムシのフォトニック結晶:87pのアンドリュー・パーカーが1990年代後半に出会う。中空六方稠密、一次元結晶
178:ハボウキゴカイ:
186:キャッツ・アイ=車道の反射板はバイオ・インスピレーションによる発明かどうかには議論の余地がある。
194:頭足類は色素胞で作り出した色を自らは識別できない。仲間にではなく、捕食者に見せて自己を隠蔽する用途にある。
198:ブリトルスター:レンズアレイは方解石。日中は色素細胞がレンズの表面を覆い、夜間には色素細胞が後退する。1987年、ゴードン・ヘンドラー
199:ジョアンナ・アイゼンバーグ:
200:カイロウドウケツのひげ:標準的な合成光ファイバーケーブルと同様な手法で光を導く、中心部には一本のタンパク質の繊維がある。
204:ブリトルスターのレンズシステム(方解石の単結晶)は削ることなく、「成長」させて作られる。
206:ウロコムシのフォトニック結晶は一次元で針に沿って一方向にしか伝わらない。マエモンジャコウアゲハは三次元、ある波長範囲をあらゆる方向で遮る。孔雀の尾羽には二次元フォトジェニック結晶が存在する。
208:昔、中国家庭の内庭(ゴミ捨て場)では粘土(無機物質)と汚水(有機物質)が出会い、腐敗する過程でタンパク質が粘土粒子を組織化する「複合構造」をなしていた。メフメト・サリカヤ
213:自己組織化はDNAが存在しなくても起こる。放散虫は泡を雛形に使う。
221:粉砕してもファージはテンプレートを伴わずに自ら元の形に戻る。
224:ジョージ・ホワイトサイド
225:バイオパニング:
226:アンジェラ・ベルチャー:ファージを利用して硫化亜鉛粒子を直径3NMのナノデバイスに。最終目標は量子ドットコンピュータ素子
228:ATPシンターゼ:ATPの形成を数十億倍に加速する酵素
230:ATPモータ(シンターゼと同義):グリコース分解の生成物が供給されるとATPを生産し、ATPが供給されると逆回転して細胞から陽子を排出する。
233:カルロ・モンテマグノ:ロボット骨格の上にネズミの筋肉組織を成長させることに成功している。
・『生物のかあち』ダーシー・ウェントワース・トムソン
237:二次元空間を敷き詰めるとき、最小の量の物質と表面張力で二次元空間を覆うことができるのは正六角形の配置なので、自然は二次元のスペースを埋める際には常に(蜂の巣など)正六角形を好む。
239:1995年、ジェフリー・オズィンはアルミノリン酸塩の粘土から、直径1〜2ミリメートルもある安定した球を形成させる雛形を洗剤から作った。同じ頃、スティーブ・マンはマイクロエマルジョン界面で炭酸カルシウムを結晶化させることで放散虫に似た構造を作る。
ヴィネグレットソースは胡椒に含まれるタンパク質が油の中で水滴を安定させる界面活性剤の役割
243:”バイオ・インスピレーションに基づく材料科学の目標は、・・・ 生命を持たない素子を人間の技術によって作り出すことにある”
246:DARPA
248:翼の上側の気流が速く流れる為のエネルギーは、翼の上側にかかる空気圧から取るので、上側の空気圧が低下して揚力が得られる。
249:空気抵抗の大きさは、その物体の表面積で決まるが、引力は三次元の塊に対して作用する。
256:ヘリコプターは壁面に接近すると揚力を失う。
259:テムズ川に架けたミレニアムブリッジは人の歩調と共鳴周波数が一致したので開通後三日で閉鎖した。
264:昆虫は翅の各部分を制御して飛べない:翅には付根以外に筋肉はないから、翅は現在進行中の動きに都合が良い形に自ら変形する構造になっている。
267:平均棍:蠅が三次元空間で運動する際に常に一定の参照点を提供する。
268:オプティック・フロー:ヒトは一秒間に17〜18枚の画像があれば、その動きを連続的と感じる。ハエには毎秒150〜200枚が必要で、これは翅の羽ばたきと同じ速さ。ハエがヒトには捕まえ難い訳。
(昆虫の飛翔には)トースター程の計算も行われていない:ユーロファイターなど最新鋭航空機の制御システムに入力される測定データはたった20種類ほど、ハエの場合は8万種類と膨大なフィードバックグループを持っているので厄介な(方程式を解くなどの)計算は必要ない。
”全ての測定ができるなら、計算する必要はそれ程無くなる”ラファウ・ジュビコフスキ
272:双安定システム:セイヨウシデの葉ー「葉折り」、ビルタ・クレスリング、三浦公亮
278:吉村慶丸「吉村パターン」、「二方向に襞のアル展開可能面=三浦折り」の「ワン−プル地図」、「Zカード」
282:(日本の)株式会社オルパ:1999年、三浦折りの地図を販売開始
285:太陽帆式宇宙船<コスモス1>試作機打ち上げは2007年に日本惑星協会(TPS)が予定(2005年に同協会がロシア潜水艦から打ち上げる予定だったが、ロケットトラブルで失敗)
286:東洋製罐「擬似円筒凹型多面体(PCCP)」:PCCPシェルの陽圧缶発泡性飲料に、陰圧缶(開缶前からPCCPパターンが現れている)はお茶。どちらも金属量を30%減らすことができる。
・ミルバンク・ミレニアム・ピアー、ツリガネム
297:ナノテクはつまるところサイズと形の問題:規模の違いこそあれ建築も対象となる。
299:鋼鉄とガラスからなる建築物は全て1851年の「水晶宮」に元を辿れる。
パルテノンなど古代神殿や寺院建築の遺跡を調査すると多くの楣(まぐさ)が破損しているのが判る。梁や楣で長い渡しをすると梁・楣は自重によって亀裂が生じる。
バベルの塔も底の煉瓦が自重で崩れるまで2キロメートル位なら達していた可能性がある。煉瓦が叩いて割れるのは、反対側の面に張力が加わるから。
・イザムバード・キングダム・ブルネル
301:全ての建築物にかかる力はつまるところ、押し(圧縮力)と引き(張力)
カンチレバー橋、プレストレスト・コンクリート、ロベール・マイヤール(橋梁建築家)、
311:エッフェル塔の広い基部は風によて上部で生じる張力を圧縮力に変換している。
313:ハインツ・イスラー:古典的ドームでの厚さと曲率半径の比は1対50で、(卵の殻など)自然の殻構造だと1対100、ハインツ・イスラーのドームは1対800に達するものがある。このようなシェル構造は塗装不要、表面が均等に圧力を受けた状態になって、雨水が漏れることはない。
317:斜張橋:第二セバーン橋、アラミロ橋、恐竜橋=未来の橋
Xピース、テンセグリティー構造=本来なら垂れ下がるところを、逆にピンと張って高く持ち上がる張力部材を用いての屋根張り
335:デビッド・キャンベルのケーブルドーム:「張力の海に圧縮剤が浮かんでいる」