新約聖書入門 (文庫クセジュ)

新約聖書入門 (文庫クセジュ)

シナゴーグは前2世紀から
ガリラヤはシリア・パレスチナでは最もヘレニズム化していた土地
・ポンティオス・ピラトスの在任期間は27から30年
・エレミヤでは「新しい契約」が告知されている:エレミヤ31:1-33
・テキストの「章と節」は征服王ウイリアムの顧問ランフランクス(1066年頃)が、シナゴーグヘブライ語聖書を朗読する為にユダヤのラビに利用されていた「セダリム」という区分を真似た。現在の区分は13世紀ソルボンヌ大学教授エチエンヌ・ラントンの仕事。
最初の共同体:
・19世紀〜20世紀始めには「ユダヤキリスト教」が「ヘレニズム的キリスト教」と対立していたと主張されたが、最初の共同体が「ユダヤ的な枠組みから逸脱したことは無い」とするのが最近の釈義家の主張。
・ペトロとヤコブの教会では独自儀式として「安息日翌日の夕べ」、「キリスト受難の記念」があった。
・「ヘレニスト」はユダヤ教内の思想派閥の一
・愛された弟子(=匿名の弟子、ヨハネとされる):ヘレニストよりいくらか穏健なグループ
共観福音伝承とQ資料:
・グリースバッハの仮説(1786年):マタイが最初、ルカはマルコ(マタイの間違い?)の書き直し、マルコはマタイ(ルカ)の縮約
二資料説:
・バァイス仮説(1856年)、ホルツマン仮説(1863年)、ケスター仮説(1990年):ルカとマタイは「マルコの第一版(原マルコ福音書)」が使われている、今のマルコ福音は第二版を指す。また、クレメンス(140〜220年)の手紙を根拠に中間の版「秘密のマルコ福音書」を主張するホルツマンの第二仮設(1885年)、プライス仮説(1999年)もある。ただし、以上の仮説は「口頭伝承」の文明・世界にあっての「執筆」を過大評価している。口頭伝承に依存した情報伝達は「口頭」の度に聞き手に対応した「新しい創造」と理解されているからである。
パウロ
パウロの「回心」とは、ヘブライ的なより正しい生き方に立ち返ったのであって、「新しい教義」を受け入れたのでは無い。
p74:偽書とは著者として可能性のある者が後世に著者とされるケース(福音、ヨハネの手紙)ではなく、他人の名前で文書を書くこと。
騙そうとする意図、偉大な先人から霊感を感じた者が先人から受諾したことをそのまま記述したとかの一連の考察は放棄すべきで、仮託や偽書とは思想家の後継者達が先人の知恵を後の時代にも継続させようと適合を試みた所作と観なければならない。