起請文の精神史-中世の神仏世界 (講談社選書メチエ)

起請文の精神史-中世の神仏世界 (講談社選書メチエ)

起請文の精神史-中世の神仏世界

・延喜3年(1310)延暦寺の僧「興圓」の起請文による「神仏と十界論」
<十界>
あの世(彼岸):四聖(悟りの世界)ー起請文に登場しない仏
1)仏:三世十方尽虚空編法界諸仏如来応正等覚
2)菩薩:諸大菩薩・摩訶薩埵 
 [明王]:諸大明王・忿怒聖衆
3)縁覚
4)声聞:一切声聞・辟支仏衆

此の世(此土):六道(迷いの世界)
5)天:梵天、帝釈、四天王、十二大天、二十八天、当山講堂釈迦如来、根本中堂薬師如来、転法輪堂尺迦如来、八幡、賀茂、松尾、諸大師、伝授大師、慈覚大師(起請文に登場する仏神=天界の存在)
6)人間
7)修羅
8)畜生
9)餓鬼
10)地獄
・他に「大師勧請起請文」

・「加持」は「憑座」という生きた依代(人間)に悪霊を転移させる仏僧の技。
・神仏はの見姿は高級官人・高僧の姿で描かれた。
p79:神像は節や木芯など空洞のある木が採用されているのが多い、これは神霊の為の領域(空間)である。また、その木が元は「神木」であるケースは多い。

佐藤弘夫の書籍の組合せでは
・「起請文の精神史-中世の神仏世界」+「偽書の精神史―神仏・異界と交感する中世」
・「アマテラスの変貌―中世神仏交渉史の視座」

実は本書が最もお買い得である。

佐藤進一「古文書学入門」、内藤湖南「日本文化史研究」、黒田俊雄「日本中世の国家と宗教」、黒田日出男「姿としぐさの中世史」