眼の不思議世界―視の五億年を考える

眼の不思議世界―視の五億年を考える

p51:淡水魚のスズキには青・緑・黄緑3色を感じる錐体があるのがいる、その目でオマケに黄褐色も見えるらしい、褐色はオレンジの部類なので見分けられる色範囲ではない。リスゴーは緑錐体と黄緑錐体が同時に反応して、相互の錐体作用の間で引き算(抑制作業)が成立し、幻の黄褐色感度が得られるとした。(ゴースト・コーン=幻の錐体)
p55:タコには円形と4角形の区別は付かないので、蛸壺の形は箱、筒どちらも可。
p56:管状眼を持つ深海魚の中には背中どころか口の中まで見える奴がいる。
p68:カエルは動くものしか見えない、ヒトは静止対象の方が見やすいが、実は「自動振動」という機能で眼自体が常時動いているから見えるので、ヒトもカエルも「動いて」いるから視える。
1)動く対象しか見ない:カエル、ヘビ
2)キョロキョロと首ごと眼球を動かして見る:トカゲ、鳥
3)静止したまま動・静止対象の何れも見れる:哺乳類?
1→2→3と動体視覚から静止像視覚を獲得した。
・猫じゃらしに反応する幼い猫は多分、静止像(絵画)を造るのは苦手だろうが、年齢を重ねて落ち着き始めた猫は静止像視覚を獲得しつつあるのかもしれない?
p79:凸レンズは集光と網膜利用には都合が良いが、周辺部の結像がゆがむ
p131:プルプラ=パープルは絹織物の生地の名、スカーレットは毛織物全般の染色名からの由来だったが、どちらも「赤色類」の名称に換わった。この変換の本質はイメージである。
p138:人間の眼はトップダウン(積極的に)で全体像が印象として先に見えてしまうので、「錯視図形」に容易に引っかかるし、月に「人面」が見える。人間の眼は空想主義的である。
p168:メス猿はオスより「親赤色」の色覚眼を持つ。一般にオスの方が赤に不安を覚える。
p169:赤・緑は本来黄色感度の可視域だったところに後から割り込んで今の場所(波長域)に収まる。結果、黄色域は周辺に追われた。
p174:アメリカ光学会(OSA)が定めた赤は620NMから760NMの波長範囲、個人研究者ではアブニーは620からスペクトルの赤側端まで、リスティングは620から723、ルードが700、フロイリーが650から750、赤色色素の感度ピークは565NMなので何れの団体・人も範囲外、感度曲線は広い波長範囲をカバーするので赤色感受域と無関係域とは言わないが、ピークの565を10として比較すると相対値で650は5分の1以下、最上の「赤」は670NM以上の範囲とされており、565NMは感度外で、これに従うと我々には「は見えない」ことになる。
P176:色覚異常が赤と緑の間に略限定されている事実は色認知の計算理論に基づく?。色知覚計算理論:レチネックス、形の計算理論:マー、網膜からの色の生体信号は大脳皮質に届く前に外側膝状体で「赤:緑」、「黄:青」の2対の色セットに手直しされているが、これは色光に対する反応で知覚した色についてではない、これと大脳皮質に送られた信号との違いは未だ解読できない。
・色彩のアルケオロジー
キュクロプスの窓
・視覚の文化