敵 (新潮文庫)

敵 (新潮文庫)

安部一族、新撰組河内山宗俊、戦国群盗伝、どっこい生きてる、人情紙風船

「この健康心配社会における他の連中特に非喫煙者の苦悩たるや想像に余りあるのだ。」
「それが人生なのか。祝福の中に生まれて涙の中に死ぬ十人並の人生。それが人生なのか。借りてきた他人の言葉で語り続け他人の言葉を残して死ぬ。それが人生なのだろうか。」
「泥棒にとって泥棒は「存在の欠落」でも頽落した行為でもなくて本来的な行為だし −中略− 泥棒は荘園時代には場の作用とされて罪は泥棒の家や泥棒に入られた家にありそれらの家が焼かれた。時代や国で異なる法律よりは哲学の方が上位にあるのだから善を殺すのは正しいことなのだ。」