衝撃の瞬間4ー4:フォレスタル

1967年のフォレスタルの火災事故は(火災発生初期の5秒を除いて)艦載機の離着陸を撮影する為に艦橋に設置されたビデオカメラにその一部始終が記録されている。
発艦待機中のF4Fファントム110号機(搭乗者ジム・バンガード)が発射したズーニー・ロケット弾(56kg)がA4スカイホークの燃料タンクを粉砕して火災が発生する。(火災発生直前のフィルムにカメラを覆うアクリル製風防にミサイル発射時の閃光から110号機と特定した)
被弾したA4が積んでいたWW2時代の旧式(453kg)爆弾が火災発生から1分半後に爆発すると並んでいたA4スカイホーク6〜7機から(453kg)爆弾と航空燃料が撒き散らされ、甲板上で熱せられた爆弾が誘爆発、甲板に穴が開いた。
一回目の爆発で8名からなる消化班が全滅(5名死亡、3名負傷)してしまい、以後は一般甲板員が消化活動に当たるが、「泡の消化剤と水」の両者を併用した為、水が泡と航空燃料を流してしまったことが、火災拡大の一因となる。泡のみか水の何れか一方を撒けば早期に鎮火した筈であった。

ミサイル・ポッドの安全装置は「2つ」あって何れも(?)発射回路を絶縁するタイプだが、機内から搭乗員が解除することはできないので、作業員が機外から外す操作する。
この誤射では安全装置の1つで「ピグテイル」と呼ばれた布付安全ピンが当時の強風で「抜け」たことになっている。
ミサイル・ポッドの発射回路を絶縁する「リボン布付安全ピン」が当時の強風で「抜け」たことになっている。
もう1つ「ピグテイル=信号プラグ」はノーフォーク港を出航しベトナム水域に達する間に艦内の会議でこの安全装置の運用を「軍規に背いて」変更したことでエレベータから上った直後の待機中に接続れていた。
本来の機体がカタパルトに接続された姿勢でピグテイルが接続されていれば、ロケットの射線上は海だったのだ。
しかし、2つの安全装置が外れた状態でも搭乗員が「発射スイッチ」を入れなければ通電はしない。
このときF4Fファントムは外部電源から充電作業中だった。この充電作業が終わって外部電源から内部電源原に切り替えたときに通電、「誤射の条件」が揃った。