地磁気逆転の兆しではない スパコン解析で判明

 地磁気を発生させる地球内部の様子を高精度のコンピューターシミュレーションで再現することに高橋太(たかはし・ふとし)・日本学術振興会特別研究員と本蔵義守(ほんくら・よしもり)・東京工業大教授らが成功、15日付の米科学誌サイエンスに発表した。
 現在、地磁気は弱まりつつあり、これを地球の磁極が逆転する兆しとみる説がある。本蔵教授は「今回のシミュレーション結果によると、地磁気逆転の兆しではない」とこの説を否定した。
 地磁気は地球内部の鉄やニッケルでできた核で起きる対流によって発生。今は北極と南極のそばに磁石のS極とN極に当たる磁極があるが、約78万年前に逆転したとされる。
 高橋さんらは今回、現実の核で起きる対流など細かな動きを海洋研究開発機構スーパーコンピューター地球シミュレーター」で再現することに成功。地磁気逆転の前には核の表面にある磁力線の出入り口が両極にずれることが分かった。
 地磁気は現在、磁力線の出口も入り口も西に寄りつつあるものの、両極への移動は確認されていない。このため本蔵教授は地磁気逆転にはつながらないとの見方を示した。
共同通信) - 7月15日3時4分更新