タブーの謎を解く―食と性の文化学 (ちくま新書)

タブーの謎を解く―食と性の文化学 (ちくま新書)

タブーの謎を解く―食と性の文化学:
主にターナーのリーメン(境界論)から人類文化を読み解く判りやすい本です。

キャスト
ペット食タブー、逆転儀礼、カーニバル、オルギア
近親婚の禁止、ハレとケ、通過儀礼、獣姦(獣婚姻)
空間のリーメンを時間に変換の例:黄昏>誰そ彼は
リーチの文化記号論、敷居を踏むな、境界のモノ:死者、花嫁 

スタッフ
クロード レヴィ=ストロース、メアリー・ダグラス

(メモ)
旧約聖書の創世記には「地のすべての獣、空のすべての鳥、地に這うすべてのもの、海の全ての魚は恐れおののいて、あなた方の支配に服し、すべて生きて動くものはあなた方の食物となるであろう」と、ノアを祝福して神が言った記述がある。
とすれば一神教の民は食肉タブーを負わない筈である。ところが後に続く「レビ記申命記」には実に奇想天外な肉食タブーが事細かに記されている。

ネバネバ、ヌルヌル、ベトベト、グニャグニャしたもの、つまり固体と液体の中間にあるアモルファスな粘体や軟体物を嫌悪したり忌避したりするのは人類共通である。
人間はカオスを明確な意味秩序空間に変えなければ、世界を認識できず、自分の存在を確信できないが、その秩序化作業(分割・分類)の果てに分類不能物を得てしまう。そこに注目することで強い有徴項(タ・プー)となる。

200万年の間狩猟採集民のバンドは頻繁にその成員が入れ替わるにも拘わらず大体25人であった。彼らのテクノロジー水準と環境収容力からすると25人が最適人口らしい。ところが出産を基準に最適な人口規模を考察すると500人(現実の方言部族の平均人口規模に等しい)が適切らしい。このため結婚相手は他のバンドから求める必要があり、また他集団からの要求があれば提供せざるをえず、その返済のために自集団の近親間性交が禁止された。