WW2の酸素魚雷は1本5万円で今なら3億円くらい、的が安いと使用を躊躇する値段だ。
torpedo
 19世紀中ごろに鉄甲艦が登場すると、固い装甲を避けて敵艦の水線下を攻撃しようというアイデアが生まれた。そのための爆発物をtorpedoと呼んだ(もとは魚のシビレエイという意味)。日本語では「水雷」で、いろんな種類がある。使われだした順にいくと、
1) spar torpedo=外装水雷。長い棒の先に爆薬をつけて、小船で近づき、敵艦の水線下につっこんで爆破する。
2) towed torpedo=曳航水雷。船からケーブルで曳航して、うまく敵艦にぶつける。1)と2)は原始的な方式で、まもなくすたれていった。
3) mechanical torpedo=機械水雷(機雷)。水面下に浮遊していて、敵艦の接触や磁気の感知などで自動的に爆発する。これは陸上のmine(地雷)と似ているので、naval mine、underwater mine、あるいは単にmineと呼ばれるようになった。
4) self-propelled torpedo=自走式水雷魚形水雷(魚雷)。内部にエンジンがあり、水中を数百〜数千メートル自走して敵艦にぶつかる。現代で単にtorpedoというとこの魚雷を指すが、歴史的な叙述では注意しなくてはならない。魚雷が発明されたのは1866年、初めて実戦使用されたのは1877年である。
 アメリカ史の有名な文句に、南北戦争Mobile Bayの海戦(1864年)で北軍のFarragut提督が言った"Damn the torpedoes, full speed ahead!"というのがある。これが日本語になると「魚雷」と訳されてしまう例が多い(たとえばナショナル・ジオグラフィック日本版2002年7月号の特集記事がそう)。南北戦争当時には魚雷はまだ使われていない。「機雷がなんだ、全速前進!」が正解である。

↑水面下を徹甲弾で狙う試みは水の抵抗で無効だが、水中の爆発衝撃は空中のそれと比較にならない破壊力になる。これが水雷開発の動機であのノーベルがクリミア戦争でぼろ儲けもした。しかし、1)外装水雷、2)曳航水雷を仕掛けた水雷艇は無事でいられるのだろうか?
ノーチラス号の実物は売り込みに失敗している。
水雷衝角艦: